5月4日 まことにまことにあなたに言う
「「わたしはこれらのことを、たとえを用いて話してきた。
もはやたとえによらず、はっきり父について知らせる時が来る。
その日には、あなたがたはわたしの名によって願うことになる。
わたしがあなたがたのために父に願ってあげる、とは言わない。
父御自身が、あなたがたを愛しておられるのである。
あなたがたが、わたしを愛し、わたしが神のもとから出て来たことを信じたからである。
わたしは父のもとから出て、世に来たが、
今、世を去って、父のもとに行く。」 弟子たちは言った。
「今は、はっきりとお話しになり、少しもたとえを用いられません。
あなたが何でもご存じで、だれもお尋ねする必要のないことが、今、分かりました。
これによって、あなたが神のもとから来られたと、わたしたちは信じます。」」
ヨハネによる福音書 16:23-30
復活したイエスは、40日の時を経て、天に旅立つ昇天の時を迎えた。
これまで、イエスは多くの人に教えた。
理解されていないとわかれば、譬え話で、説いた。
この福音書記者ヨハネはイエスを愛の人と呼び、その愛を神から受けた
と言っている。
イエス自身を神の「ことば」(「ロゴス」)と言った。
このロゴスから成り立つ万物の世界観を解き明かしたのですが
果たして、弟子たちはどうだったのか。
いま、昇天して、父の元に帰っていく。
この時、果たして、どれだけのことが、後世に受け継がれるのか。
イエスにはその心がかりがあったことでしょう。
JS.Bachは、1724年5月14日、復活節第5主日礼拝で,
カンタータ86 「まことにまことにあなたに言う」を作曲、演奏しました。
カトリック時代から、この日を「嘆願」の日とし、願い事をイエスの名によって祈ることを教えた。
カトリックから分離独立したプロテスタント教会は、教会暦を受け継いできたのです。
こうして、「嘆願」の日曜日にバッハは、
BWV86 「まこと、まことに あなたにいう。」を作曲演奏し、
イエスが「私は言う」と言われたことばを、ヨハネは「まことに言う」と強調し、さらにバッハは「まことに、まことに」と強調しているように、
理解していない弟子たちを浮き上がらせていると思います。
では、本曲全6曲の歌詞を通して、バッハの解釈に学びましょう。
BWV86 まことにあなたに言う
第1曲バスによるアリオーソ。バッハの時代にドイツでは、器楽演奏が主流であった。イタリアで発展した歌曲が入り始め、歌曲を取り入れたアリアをアリオーソと言ったようです。(Spita)
1,まことにまことにあなたに言う アリオーソ バス
まことにまことにあなたに言う。
父に願うすべてをわが名によって祈れば、
父はそれら願うものを与えられる。
2.バラの花を摘もうとして アリア アルト
バラの花を摘もうとして
その刺に刺されようとも
切なる祈りは必ずみ前に届くと信じる。
み言葉は私に約束しているのだから。
※バラはイエスの十字架の苦難を指す。
イエスを信じる人は棘に刺されて血を流すような
苦しみを受ける。それでも切なる祈りは聞かれると信じる。
今日はこの一曲をお聞きください。
ー第2曲 薔薇の花をつもうとして 約6分—–
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3.慈愛深き永遠の神 コラール ソプラノ
慈愛深き永遠の神
そのみことばもて
御名において語られた
真実こめなされた我らを救いて
み国に送りたまえ アーメン
4.約束を守れないこの世と違って アリア テノール
約束を守れないこの世と違って
神の約束の成就を見ることは
われらの喜びなり
5.神はかならず救いを成したもう アリア
神はかならず救いを成したもう。
多少遅れることがあっても
救いの手を止めることはない。
み言葉は証しているように
神は必ず救いを成したもう。
6 神が約束した時が コラール
神が約束した時が満ちるのを待ち望もう。
その日はいつなのか知ることはできないが、
最善の時は来たると信じて、主に委ねよう。
今日の祈り
恵み深き天の神
今日はイエスの昇天から主の在りし日を、
誕生に遡ろって省み、イエスが神の御心なる
神のことばを語り、その言葉から全てが生まれる
現実に心を向けました。そのように全てを見、
生きていくように助けてください。
世の中の混沌を見るにつけ、お願いいたします。
アーメン
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今日のカンタータ 下記より
BWV87 「まことにまことにあなたに言う」全6曲