2.受難・復活・昇天・聖霊降臨

 

  教会暦による  バッハ カンタータ 

目   次

1.待降節  2 降誕節  3 顕現節 4 受難節 5 復活節 6 昇天祭 7 聖霊降臨節   8  三位一体節

マリアの祝日  大天使ミカエル  参事会   宗教改革   葬 儀  詩編より   

 受難・復活・昇天・聖霊降臨
  BWV92 神の御心によりて
1725年1月28日 初演 復活前9

マタイ20:1-16 ブドウ園の労働者
1コリント9:24-10:5
基本コラールP.ゲルハルト
前作のBWV111とおなじコラール旋律を使って対をなしている。
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Sexagesimae

BWV18

BWV18 天から雪降り雨下り
1724年2月13日 復活前第8主日 初演
ルカ8:4-15 種まく人の譬、2コリント11:1-9~12:9 弱さの中に現れる神
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Estomihi

BWV22

 

 

 

 

 

BWV22イエスは弟子たちを集めて言われた
初演・機会 BWV23に同じ
基本コラール エリザベートクロイツィガー「主キリスト、唯一の神の子よ(Herr Christ .der einige Gottessohn)1521 第5番 
構成 独唱3(アルト,テノール、バス)合唱 Ob,2v,vL,conti.
トマス教会カントルの試験曲として1723年2月7日に初演された。
五旬節用カンタータ。
歌詞は聖書日課のうちBWV23の歌詞が取り上げなかったルカ福音書のイエスによる受難の予告を題材にする。
バッハに先立ってこの職を志願したクリストフ・グラウプナーが試験の際にカンタータ2曲を演奏していることから、
バッハもBWV22と23を(ともに五旬節用)を同じ日の説教の前と後に演奏したと考えられている。
歌詞はこの2曲で補い合っている。両方とも翌年再演奏された。 

BWV23
 

 

 

BWV23 まことの神の子、ダビデの子
1722年ライプツィヒの聖トーマス教会音楽監督ヨハン クーナウが死去し、後任を募集した。6人が応募したが、彼らは退けられ、当時ドイツで第一人者と言われたフィリップ テレマンと交渉した。テレマンはライプツィヒ大学で法律を学んでいたが、音楽への情熱が彼を動かして学生音楽団体コレギウム ムジクムを主催し学生たちに支持されていた。また聖トマス教会のオルガニストや作曲指揮を行なっていた。しかしライプツィヒを知り尽くしたテレマンとの交渉は結果的にならず、これまで候補に挙がっていなかったバッハの名前が出て来たのである。
本曲はその時のいわば就職試験の曲だったと想定されている。
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BWV182
 

 

 

BWV182  天の王よ ようこそ来ませ
17240325 棕櫚の主日、
マタイ21;1-9 この日から受難節がはじまる。

1 ソナタ 2 天の王よようこそ来ませ 合唱
3 見よ 聖書にあるように、朗唱 バス
4 強き愛、偉大な神の子 アリア・バス
5 救い主のみもとにひれ伏し、 アリア・アルト

6 イエスよ 良い時も悪い時も、 アリア・テノール
7 コラール 主イエスのみ苦しみ わが喜びなれ。
8 合唱 われら喜びあふれるサレムに行き 
  ※棕櫚の主日を終えて、受難節はイエスの十字架の苦難を心に刻む時とされ、カンタータの演奏は禁じられた。この期間、マタイ受難曲など大きな規模の曲が作曲され、復活祭に備えられた。
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復活節


BWV04  

 

 

 

 

BWV4 キリストは死の縄目につき
170804  復活祭
1コリント 5:6~ 8 マルコ 16;1~ 8(キリストの復活)
歌詞 M.ルター
使用コラール・キリストは死の縄目につきたもう(ルター)
1524年にルターが作詞し、この歌詞をラテン語賛美歌(グレゴリ
オ聖歌)「過越の犠牲を讃美せよ」の旋律につけた。キリストの復活を罪の死からの勝利と強調する。
第1曲のシンフォニーは全 8曲のもとにあるコラール旋律を提示する。1.シンフォニー  2.キリストは死の縄目につき 合唱
3.死に勝ったひとはいない 二重唱 ソプラノ、アルト
4.イェス・キリスト 神のみ子  コラール編曲、テノール
5.不思議な闘いだった 三重唱コラール 6.まことの過ぎ越しの小羊 コラール編曲
7.ゆえにわれらは祝う 二重唱 8.われらは復活のパンを食して
コラール
 
BWV6
 BWV6 泊まりませ
17250402   復活祭2

三日前に主イエスを亡くして故郷エマオ村に帰る二人の弟子に、伴い歩く人がイエスであったとわかるのは、夕餉の食卓でパンを切り分けて二人に与えるそのしぐさに心の「目が開かれて」のことであった。ただ一つの言葉「泊りませ うちに。夕暮れになり 日が沈みます。」が23回×4声部92回。それだけが歌われている。「泊まりませんか」とすすめる熱心な思いあって、イエスは歩みを止め、食卓に着いた。
 
BWV15
 BWV15  あなたは私の魂を陰府にわたさず
復活5.  マルコ16:1-8 6.詩編16:1 あなたはわたしの魂を陰府に渡すことなく、驚くことはない。・・『あの方は、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて言われたとおり、そこでお目にかかれる』と。」
本曲と141.142.160がバッハの作でない偽作とされている。何らかの研究の糧になればと思って記す。
 
 BWV86
 BWV86 まことにまことにあなたに言う 
17240504  復活5
聖書朗唱 第2曲で「バラの花を摘もうとしたら棘に刺される」長いソプラノのアリアがつづく。イエスを信じて弟子になり、バラの花のような美しい理想世界に身を休めるとイメージしたかもれない。が、イエスを待っていた、十字架の棘に刺される。バラの花が持っているとげを繰り返し歌っている。迫害に遭うと、手のひら返しのように、立ち去った弟子たちが再び立ち上がるためには、棘の痛さをとおりぬけなければならない。この復活節の40日をバッハは音楽の捧げ物によって追体験している。
 
 
BWV104
BWV104 イスラエルの羊飼いよ
17240423 復活2
ヨハネ10;12-16  よき羊飼いのたとえより 十字架の死から復活
の主イエスはよき羊飼いとして永遠に語り継がれている。羊を愛し羊のために命をすてるよい羊飼いは悪しき指導者たちを浮き彫りにする。よい羊飼いに養われる羊は幸せである。
1 イスラエルの羊飼いよ 合唱
2 羊飼いは目をとめ 朗唱 テノール
3 羊飼いが去られて アリア テノール
4 み言葉こそわが糧 朗唱 バス
5 恵まれた羊の群れよ アリア バス
6 主はまことの羊飼い コラール
 
 
BWV112
 BWV112 主は善き羊飼い
17310404 復活2

トマス教会就任前に作った曲を書き直したと推定されている。
第2曲目の自筆総譜になされた多くの訂正が物語っている。
「コラール節をそのまま用いながら、編成、調整など工夫して変化と統一、調和のとれたカンタータに仕上げるバッハの手腕はみごとなものである。」(井形ちづる)聴きどころ 3曲
聖書朗唱・バス 「死の陰の谷を行く時も災いを恐れない。」 
 
BWV249  
 ※BWV249 はやく走れ 
17250401 復活祭オラトリオ
ヨハネ20:1~4  マグダラのマリアとマリア、ペトロとヨハネがイエスがいないお墓に急ぐ場面。第1曲のシンフォニー「はやく走れ」第2曲 三日前に十字架に死に、遺体を納めたお墓に、イエスがいないと言う知らせを聞いて、メランコリックアダージョ(歩くより遅い、重い気分の速さ)第3曲合唱、「はやく走れ」追いかけるフーガ形式の合唱。トランペット3本、ティンパニを加えて、男声二重唱が「はやく走れ」と歌い始め、それに女声ソプラノとアルトが加わって4声合唱になる。夜明けの明るみのに包まれて、2人の弟子が着き、先に来ていた女たちに合流する。
 昇天祭 目次へ 6.昇天

BWV11  
 BWV11 神をほめよ、すべての国で
1 神をほめよ、すべての国で 合唱・
2 主イェスは手を上げて 聖書朗唱
3 ああイエスよ、もう行くのですか。聖書朗唱
4 ああとどまりたまえ。アリア・
5 イエスは彼らの前で天に昇られた。聖書朗唱
6 今やすべてはあなたの元に コラール
7 イエスが天に昇るのを見送ると 聖書朗唱・二重唱
8 戻ってください 聖書朗唱
9 弟子たちは主を拝み 聖書朗唱
10 イエスの恵みのまなざしを アリア・SP
11 いつの日なのかその時は
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聖霊臨降祭


BWV172

BWV172 ひびけ汝がうたよ
17240528 聖霊1 ヨハネ14,23-31

1.ひびけ汝がうたよ  合唱
2.私を愛するものは 朗唱 バス
3.聖なる三位一体 アリア バス
4.来ませ私を 二重唱アリア ソプラノ。アルト
5.深き愛よ 二重唱アリア ソプラノ・アルト
6.歓喜の光 コラール
  
 BWV68

 

 

  BWV68 神は世を愛して
17250521 聖霊2  ヨハネ福音書3章16節

「神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。」
1.合唱 2.心のよろこび私の歌よ アリア ソプラノ
3.ペトロのように 朗唱 バス
4.主は私のために生まれ アリア 5.イエスを信じるひとは 合唱
マリア訪問
 マリア訪問
 
BWV147
 BWV147 心と口と行いと命で
1725年、マリア訪問の祝日(現在は5月31日に祝われている。)
ルカ1;39_56

第1部  01 合唱 心と口と行いと命で 02 朗唱・テノールおめでとうマリア
03 アリア・アルト  04  朗唱・バス  05 アリア・ソプラノ 06 コラール
第2部
07 アリア・テノール 08 朗唱・アルト 09 アリア・バス 10 コラール

BWV191 
 BWV 161 来ませ甘き死
1735年2月2日
マリアの祝日 ルカ7;11-17

中世の絵画や音楽によく使われた「甘き死」。 御心ならば、体の重荷が今日にも地の上に満ち、からだの客なる霊がみ国の甘美な喜びのうちに死なぬものとなることを願う。」 現世の価値観は、人の命をおし潰し、よってからだは病み、人生は重荷となって、死は決して甘いものではなく、分断であり、絶望、苦であり、受け入れられない。つまり死は苦しみ以外ではないという考えが現世を圧倒している。しかし、人は死ねば、死の力はもはや無力となる。と同時に、からだの客なる霊が、死と引き替えによみがえる。からだの客が、からだの主(体)となる。人は霊の体によみがえる。ここで、「もう泣かなくてよい」という言葉が響いてくる。
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 葬 儀

BWV106
 BWV106 神の時は最良の神の時 

17070810葬儀
神の時とは、人が臨終を迎える時をさしている。
楽器 ブロックフローテ=リコーダー  ビオラガンバ、通奏、4声  全4曲
1 Sinfonia
2 合唱 神の時はいと良き時である。
3 アリア、アリオーソとコラール  4 合唱 父なる神と御子と聖霊に 誉れあれ

目次へ  a11. 参事会議員交替式
 参事会議員交替式 
BWV71
 BWV 71 神はわが王 

17080204 参事会議員交替式
1 神はわが王 合唱 2 わたしは今や80歳、なぜこんなに重荷を テノール
3.四重唱 4.アリア 5.アリア 6.あなたの鳩の魂を敵に与えないでください合唱 7.合唱 新しい治世に祝福の王冠あれ。
1707年 バッハはミュールハウゼン ブラウジス教会のオルガニストの任命を受けた。ところが、
その三日後に大火が起こり、結婚したばかりの妻と引っ越した。ミュールハウゼン市はローマ帝国の直轄自由都市で、6人の市長と46人の参事会員が選ばれ、この中の二人の市長と14人の参事会員が1年任期で交代する時だった。火災の復興は手付かずのままだったが、バッハの初仕事になった参事会交代式は、議員たちに深い感銘を与え、議会は楽譜を200部印刷して謝意をあらわした。

目次へ   宗教改革記念

BWV79
BWV79 主なる神は太陽また盾
17251031  宗教改革記念日
2テサロニケ2:3~8 、ヨハネ黙示録14章6~8

1.主なる神は太陽また盾 合唱
2 神はわれらの太陽また盾 アリア.アルト
3 今こそみな心 コラール合唱
4 まことの道を知ったので 朗唱 バス
5 神よ見捨てないで アリア・二重唱 (ソプラノ、バス)
6 真理にとどまり コラール 合唱

BWV80
BWV80 神はわが高き櫓
1724年10月31日推定
ルカ11:14-28 ベルゼブル問答
エペソ5:1-9 光の子として歩め
1715年から1747年の間に諸稿がある。
歌詞S.フランクの「福音主義礼拝の捧げ物」(1715)から
原型は1715年の四旬節第3日曜日のために作曲された。
宗教改革記念日のために、旧作を拡大転用したもの。
目次へ     聖ミカエルの祝日

BWV50

 

 BWV50 今や我らの神の救いと力と
1723年 9月29日 聖ミカエルの祝日
この日は、ヨハネの黙示録12:7~10が読まれる。

キリスト教への大迫害で捕らえられたヨハネがパトモス島に送られ、炭坑で石炭掘りを強いられていた時に、見聞きした幻、予言を書き留めたのがヨハネの黙示録である。7人の天使の上に立つ大天使ミカエルは悪の化身ドラゴンと戦って勝利する。昼も夜も神を信じる兄弟たちを告発してきた者達は投げ落とされた。天上での戦いなので投げ落とされたとなる。迫害の中で信仰の勝利を歌う。
目次へ       詩   篇
 詩編130より


BWV131

 

 BWV131 深い淵から  

1707年 詩編130より
1.合唱 深い淵から 詩編130;1,2
2.主よあなたがすべての罪に目をとめ アリオーソとコラール 詩130:3
3.主を待ち望む 合唱 詩編130,5
4.わが心よ主を待ちのぞめ アリアとコラール 詩編130,6
5.合唱 主を待ち望む 詩編130;7,8

詩編150より


BWV150

BWV150 主を 仰ぎ望む

1708~1710年ごろ ? 詩篇25
全6曲 1 1.シンフォニー 2 主を 仰ぎ望む 合唱 3 だがわれら満ち足りている アリア 4 導きませ私を 合唱 5 杉の木は風にふかれ アリア・アルト、テノール、バス
6 わが目は主を見上げる 合唱  7 苦しみの日々を 合唱

♪ 聖書朗唱がないこの曲はライプツィヒのトマス教会に就任する前につくられていたと考えられている。詩編25に自由詩を加えた曲と考えられる。現実の苦しみから神を見上げ、慕いあえぐ。詩編の作者ダビデ王の実体験と重ね合わせると、意味深く思われる。

BWV196

 

 

 

 

 

 

 

BWV198 侯爵よ、なお一条の光を
1727年10月17日

ザクセン選帝侯妃追悼式
歌詞 J.C.ゴットシート
ドイツ・プロテスタントの中心地、ザクセン選帝侯国は「強健王」F.アウグスト1世(在位1694-1733)の時代に最盛期を迎え、ポーランド王も兼ね、いわゆるドレスデン・バロックの最盛期を迎えていた。しかしポーランド王戴冠の際、アウグストはカトリックに改宗、ルター派の敬虔な信仰をもつ候妃C.エーバーハルト・クリスティアーネはこれに同調せずヴィッテンベルク近郊のブレッチュに引きこもり、余生を祈りにささげた。そのため国民の信望はクリスティアーネに集まり、1727年9月5日に逝去すると、ライプツィヒ大学カール・フォン・キルヒバッハの肝入りで大学付属聖パウロ教会で追悼式典が行われることになった。

 キルヒバッハは追悼演説を自ら担当し、その前後に演奏されるカンタータの作詞をJ・C・ゴットシェートに、作曲をバッハに依頼した。バッハは作曲を10月15日に完了し、2日後に追悼式典が盛大におこなわれた。