Bach就任300年

    Bach就任300年 JSバッハ

トマス教会カントル就任300年記念行事

 

Bach for Future(未来へ向かうバッハ)というテーマのもと、

6月8日、1723年就任にちなみ17時23分前夜祭を開演、18日まで、

世界から40の団体が集まり 150回のコンサートが開かれた。
日頃、Youtubでお目にかかっいる団体と指揮者と合唱団、ソリストが出演していた。

YouTubeを通して見るJSバッハとトマナコア、またいく人かの愛好者たちに

ついて、わたしのyutubeでお目にかかっている人たちはたった

5年ばかりなのに、驚くべき成長、変革を感じてきた。

その一番は本拠地のトマナコアであり、スイスのバッハ財団は

急速に成長した。オランダの「オールオブバッハ」の100年は驚嘆する。

新旧交代がうまくできてよかった。

CDを通して出会ったヘルムート・リリンクは引退をした。

そして鈴木雅明率いる日本バッハコレギウムは跡継ぎがついている。

1.スイス・ガレンのルツさんのバッハ財団は創立20年というから、

急速に成長し、洗練されたと驚くとともに古参になって、

逆に伸びしろがなくなった寂しさを感じている。

2.この間に、トマーナコア(トマス教会少年合唱団)は

G.C.ビラーさんが亡くなって、ライゼさんが就任してあっという間に

別の特色を出して「成功」している。
ビラーさんは生粋のトマーナで、戦争、ナチズム、東ドイツの悪夢の

時代から回復する使命をもって、彼が受けたトマーナの純粋な生命を

蘇えらせようとするかのように、力を尽くしていたことを強く感じる

人でした。
ナチズムの時代の指揮者ギュンター ラミンの演奏と説明の中に、

トマーナの少年たちを郊外施設に退避させ、ヒトラーユーゲントに

連れて行かれないような抵抗をした(成功したか否かは覚えてないが)

というエピソードを読んでため息をついた。また、トマーナコアが、

1980年代に日本公演で福岡にも来た時、福岡の少年が(その中に

木の脇道元さんも)参加したことで記憶に残っている、その時の

指揮者ヨアヒム ロッチェが東ドイツ崩壊に伴う、密告者告発の

「シュタージ」で逮捕されたというニュースを、天神の紀伊國屋書店

で立ち読みした音楽雑誌の中に見つけた時、ショックだった。

その後任であっただけにビラーさんの純粋な生き様に惹かれたが、

もっと活躍できる年齢(私より若干年下)だっただけに残念です。

Youtubeで演奏録を視聴できるのはありがたいです。

3.ライゼさんはその後任にあたる。スイス生れ、カトリックで、

教会音楽分野で少年合唱団の指揮者、舞台音楽等幅広い研鑽を積んだ

実力者で、今回の300年行事の責任を負った。コロナ禍が長引く中、

会衆がいない演奏録画放映が続いた。自ずと少人数で間隔をとった演奏。

また世界各地から大勢参加したweb合唱もコロナ禍ならではのことで、

若い人が参加しやすく、新しい試みに意欲的。

4.次に、2013年にバッハの全曲演奏「オール オブ バッハ」を目指して

100年の歴史をもつオランダ・バッハ協会の「オール オブ バッハ」、

その中に2018年から加わり、指揮者を務めている佐藤俊介の活躍と

みなさんの成長と老若の入れ替わりがすごい。(2019年来日公演)

市民社会が特徴なオランダの人たちらしく、「みんなで」作り上げている

感が伝わって、その意味で好感が持てる。

5.隠退したヘルムート.リリンク。
福岡バッハコレギウムにいた10数年、リーダーの武田又彦先生に

リリンクの名前を聞いて「カンタータ全集」CDを聴くようになった。

武田先生は、リリンクの日本でのセミナーで、指揮法を学んで、

セミナーの最後に模擬演奏の指揮者に選ばれたそうで、

私は好感を持っていた。

ところが、youtubeでリリンクの演奏を見ていた人が「嫌だ、

ミリタリー音楽みたい」と書き付けているのをみて、びっくりした。

マタイ受難曲の冒頭合唱で(後に、ベートーヴェンがバッハにヒント

を得て「運命」(第5番)の冒頭に用いたといわれる「デインパニの連打」を、

「軍隊音楽 嫌い」と書き込んだ評に衝撃を受けた。

マタイ受難曲は神学生の最終年度に神戸栄光教会のクリスマスに清水さん

率い聖歌隊に入れてもらって歌った。バッハの初体験でした。

楽譜にカタカナで「イザウタエ」というように書き込んであった。

その「命令形」に、私は遭遇したのです。はたと考えて、「さあ歌おう」(lets sing)みたいな使役動詞を使った「私をして歌わせたまえ」みたいな感じではどうだろうか。・・・こんなふうに考えさせられた、今もそう考えている一件でした。

6.最後に、日本バッハ・コレギウム(BCJ)は、300年記念のフィナーレに

選ばれて、ロ短調ミサを演奏。鈴木雅明先生のライフワークの頂点であり、

日本のバッハ運動と芸大に設置されたバイブオルガン学科は新しい

使命に向かっていく。喜びに満ちた美しいひとときでした。

コロナ禍の長いトンネルからいきなり花が咲いたような

10日間だったですね。おめでとうございます。

同記念行事は7月24日配信